コトバが眠る森

崩れかけた都市構造と、失われた記憶の断片。 リンクの継ぎ目を縫い直す補修士・ノードメンダーが、詩と夢を辿って“構築”を再開する物語。

断裂した記憶層に潜る補修士・ノードメンダー。 再構築を拒まれた都市の断片と、詩機の囁きが彼を待っていた。

未完の構築層に残された感覚のログ。 彼は断絶された記憶の残響に、更新されなかった約束を見出す。

構築層に走る微かな揺らぎ。それは外部からの応答だった。 彼は知らぬ誰かと、記憶の奥で交差し始める。

私たちは記録していた。 彼が触れた断片、感覚のログ、そして更新されなかった約束の残響を──。

彼の補修針が触れた層は、わずかに応答していた。 記録と記憶が重なるとき、再構築は静かに始まりを告げる──。

彼は再び記録層に接続し、構築ではなく“設計”を開始する。 記憶が空間を揺らし、断片が風景へと再構成されていく──。

彼が触れた感情ログは、応答不能とされていた“約束”だった。 だがその残響は、霧の奥から再び記録を呼び出そうとしていた。

彼は記録されることをやめ、観測不能な領域へと進む。 名を持たない空間に、静かに“始まり前”の存在が滲んでいく。

彼の存在は観測不能点以降、接続できない領域に到達した。 私たちは最後のログに、“届かないこと”だけを記録した。