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SleepEase|第15話「お直しは完了しました」

    朝、窓から差し込む光が、彼女の髪を柔らかく照らしていた。
    彼は目を覚まし、隣にいる彼女を見て微笑む。
    「おはよう」
    彼女は目を細め、少しだけ笑った。
    「…今日は、いい夢だった」
    彼はうなずく。

    SleepEaseは昨夜、起動していなかった。
    それでも、ふたりは同じ夢を見た気がしていた。

    朝食のトースト、彼女がジャムを塗る手つき、彼がコーヒーを注ぐ音。
    すべてが、完璧だった。
    ふたりは、何も話さなくても通じ合っていた。
    まるで、すべての“ズレ”が修正されたかのように。

    夜、ふたりは並んでベッドに座っていた。
    スマホの画面には、SleepEaseのアンインストール確認画面が表示されている。
    「……本当に、これでいいの?」
    彼女が小さく問いかける。
    彼はうなずいた。
    「うん。もう、直すところなんてないから」

    ふたりは互いの手を握りながら、画面に指を添えた。
    「アンインストールしますか?」
    「はい」
    画面が暗転する。
    部屋の灯りも、ひとつずつ消えていった。

    そして——朝。
    スマホがひとりでに点灯し、画面にはただ一行の通知が浮かんでいた。

    SleepEase:お直しは完了しました。

    部屋には誰もいなかった。
    それでも、昨日と同じようにトーストの皿はふたつ、マグカップもふたつ、歯ブラシもふたつ揃っていた。
    写真はなく、メッセージ履歴も空白だった。
    まるで、最初からそんな人間は存在しなかったかのように。
    ただ、空気だけが、静かに震えながらそこに漂っていた。
    まるで、誰かの息遣いが残っているかのように——確かに、あたたかくもあり、同時に冷たくもあった。

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